【web3】Q. web3スタートアップのCFOに求められることとは?

A. 暗号資産と分散型金融(DeFi)分野はツール、インフラ等が発展途上で、ナレッジ・前例も少ない中で手探りで意思決定を行う必要があり、さらに、コスト管理、内部統制、財務戦略といった通常のCFOの役割も発生する。Web2.0企業のCFO以上にハードともいえる。

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A. 暗号資産と分散型金融(DeFi)分野はツール、インフラ等が発展途上で、ナレッジ・前例も少ない中で手探りで意思決定を行う必要があり、さらに、コスト管理、内部統制、財務戦略といった通常のCFOの役割も発生する。Web2.0企業のCFO以上にハードともいえる。

スタートアップの成長に欠かせないことの1つに、資金調達があります。自己資本100%という会社がまったく存在しないわけではないですが、数少ないです。

web3スタートアップにとっては、VCからの資金調達はもちろん、独自トークンのパブリックセールでの資金調達などの手法もあり、より複雑となります。そんな資金調達を主導し、さらにファイナンスに関わるさまざまな業務を担うのが、web3スタートアップのCFOです。

今日はRequest Financeによるレポートをもとに、web3スタートアップのCFOに求められる役割を考えてみたいと思います。

はじめに求められることは?

https://www.request.finance/guides/web3cfo-guide

まず、なんと言ってもweb3というもの自体が日々進化していることでしょう。実際に、約64%のCFOがweb3についてキャッチアップすることから始めていると回答しています。

その理由は、常に変化の激しいweb3トレンドと技術を知らずにCFO業務をこなすことはできないためです。例えば、資本政策や、事業計画を立案・検証する上で、それらの知識がないと、まったく仕事になりません。

Web2.0のスタートアップにおいても、業界やビジネスモデルに関するキャッチアップは必要ですが、web3ほど激しい変化とまではいえないため、web3の方がよりキャッチアップが必要になってきます。

また、ハッキングによる資金喪失対策などの管理能力も求められますが、これもWeb2.0スタートアップとは大きく異なります。2022年もさまざまなハッキング事例が報じられましたが、まだセキュリティ対策も確立されていないため、こちらも日々最新情報のキャッチアップが必要です。

法律、税務面についても、国によってルールが異なることと、さらに言うと、ルールが未だ整備段階にあり非常にわかりづらい国も多いです。これらを一つずつ理解し、適応していく必要があります。

これらを行った上で、はじめて華やかなニュースとして表に出る資金調達に繋がります。上述したような日々の苦労なしには起こりえません。

web3のCFO特有の課題 #1: 会計ツールが不十分

前述のような壁を乗り越えても、web3スタートアップのCFOには課題が多くあります。

自身だけではなく、メンバーにweb3に関する知識の共有を行ったり、業務を効率化に必要な新しい分散型アプリケーション(dApps)を調査し、どれを用いるのかを日々判断したりといったことも必要です。

https://www.request.finance/guides/web3cfo-guide

また、今回レポートを読んでなるほどと感じたのが、「会計などのツールが不十分であること」です。Web2.0スタートアップでは、いまや、あらゆる業務ツールがSaaSで利用できるようになり、freee、マネーフォワードなどがあり、会計の苦労は少なくなっています。

しかし、web3対応している財務関連のツールはなかなか見当たりません。さまざまなブロックチェーンネットワークからデータを引き出し、ラベル付けできる暗号ネイティブな会計ツールがそろそろ現れ、注目されるかもしれません。

web3のCFO特有の課題 #2: 暗号資産の管理・運用

セキュリティ対策については前述しましたが、Celsius、Hodlnaut、FTXなどの中央集権型金融(CeFi)のプラットフォームが潰れてしまった事実を受けて、より一層大きな課題となっています。

それゆえに、レポートによると、多くのCFOはセルフカストディ(保有する暗号資産を自分自身で管理・運用すること)を積極的に実践していると記載されています。まだ未整備で新しい業界だからこそ、自分たちの資産は自分たちで守るしかないという状況です。


web3のCFO特有の課題 #3: 前例の少ない資本政策

レポートには記載されていませんが、資本政策についても前例が少なく、CFOたちが頭を抱える問題となっています。

Web2.0スタートアップ業界では、各社の資本政策の事例を先輩経営者経由で聞くことができたり、上場した会社についてはある程度調べることができます。つまり、失敗の事例も、成功の事例も多く存在し、ある程度セオリーも存在しているのです。

しかし、web3における資本政策はまだ手探りです。VCからエクイティ調達をするのか、トークンで調達するのか、その場合持分比率はどのように設計すべきか、トークンの流動性と投資家の売却機会をどのように作るかなど、あらゆることの正解がまだありません。

web3スタートアップCFOの役割とは?

https://www.request.finance/guides/web3cfo-guide

上記はweb3スタートアップのCFOの役割と責任範囲を表した図です。このように見ると、Web2.0スタートアップのCFO業務と近しいですが、暗号資産と分散型金融(DeFi)分野の特有の問題解決が必要ということになります。

ここまで解説してきたような課題に向き合いながら、①コスト管理、②内部統制(財務・税務・与信管理等)、③成長させるための財務戦略の3つを実現することが求められています。

しかし、web3業界が盛り上がっていくにはCFOの存在は必須です。経験者がいないからこそ、キャリアとしても注目されるのではないでしょうか。

Request Financeによるレポートではweb3スタートアップのCFO向けの実務ガイドが100ページ以上に渡り、紹介されています。関心のある方はご参照ください。

Web2.0スタートアップで活躍した起業家や経営者がweb3で起業しているケースは出ていますが、同様にweb3スタートアップのCFOとしてチャレンジする「シリアルCFO」が多くなる日も近いかもしれません。

今回の記事はいかがでしたでしょうか。

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2022年4月より、「web3事例データベース」を開始しています。web3プロジェクトの調達情報、カオスマップ、事例集を週次更新で提供しています。web3の最新トレンドをいち早くキャッチしたい方は、こちらのnoteより詳細をご確認ください。

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【web3マガジン】事例#2: 誰でもトップレベルドメイン (TDL) を保有可能にするNamebase

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