半導体セクターの中で、アドバンテストは欠かすことのできない存在です。半導体テスト分野における世界的企業として、高度化するデジタル社会の基盤を支えています。本記事では、過去最高の業績を更新した決算内容と経営戦略を読み解き、今後の展望を考察します。
アドバンテストの事業概要

アドバンテストは1954年の創業以来、電子計測技術を基盤に半導体テスト分野で成長してきました。
半導体はスマートフォンやパソコン、データセンターや自動車などあらゆる製品に搭載される不可欠な部品であり、その品質と信頼性を保証するテスト工程は重要です。同社はこのテスト領域で、世界の大手半導体メーカーから信頼を集める存在です。
主力製品である半導体テスタは、ウェーハの製造後やパッケージング後の最終検査だけでなく、設計や評価段階での使用にも対応し、さらには最終製品レベルでのテストまで幅広い工程に関与します。こうした対応力の広さが競争優位を生み出しており、特にAIやHPC(高性能コンピューティング)の進展に伴い、半導体の高性能化が進む現代において同社の重要性はさらに高まっています。
2025年度第1四半期決算の概要

2025年度第1四半期の売上高は2638億円と前年同期比90.1%増、営業利益は1240億円で前年同期比295.7%増となり、いずれも四半期ベースで過去最高を記録しました。営業利益率は47.0%に達し、前年同期比で24.4ポイント上昇しています。
AI関連需要が依然として旺盛であり、特に高性能SoC向けの需要が収益を大きく押し上げました。また、製品供給力の拡充によるスケールメリットや、コスト管理の徹底、製品ミックスの改善といった要素が複合的に寄与し、過去最高益を実現しました。これにより、アドバンテストが半導体業界という大きな成長が期待される市場に対して、適切に対応できる体制を築いていることが証明されました。
セグメント別業績

事業セグメントごとに見ても大きな成長が表れています。
SoCテスタの売上は1913億円と前四半期比で424億円増加し、HPCやAI関連の半導体需要を的確に捉えています。