A. 企業が持つブランド、データに対して、上手くGenerative AI(ChatGPT)を組み合わせた会社が、実際に企業価値を伸ばす事例が出てきている
この記事はhikoさんとの共同制作です。
2023年の年始頃から、「ChatGPT」が注目を集めており、様々なメディアで取り上げられています。メディアやSNSなどで一度は目にした方がほとんどではないでしょうか。
ChatGPTは、端的に言うと、ユーザーからの問いかけに対して、まるで対話をしているような表現で回答してくれるサービスです。ChatGPTについて詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
参考:Q. ChatGPTをリリースしたOpenAI、なぜ4兆円もの超高額な評価額がつくのか?
このChatGPTには、「Generative AI」という技術が活用されています。Generative AIは、米国を中心に世界的に注目されている機械学習技術の1つです。
本日は、そんなGenerative AIに注目して、Generative AIを活用している企業とその企業価値について解説しました。
この記事では、1ドル=100円($1 = 100円)として、日本円も併せて記載しています。
Generative AIとは
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Generative AIとは、既存のデータセット(機械学習で使用されるデータ)から、新しい画像や動画、テキストなどの多様な形式のデータを生成する次世代のAI技術です。
既存のAI技術は「大量のデータセットから特徴を学習して、予測や判別を行う」ことがメインでしたが、Generative AIは簡単に言うと、「データセットからまったく新しいデータを生成する」といった創造性があることが大きな差分で、これが次世代のAI技術の1つと言われる理由です。
冒頭でもご紹介した、テキストを生成するAIの「ChatGPT」や、画像を生成できるAIの「Stable Diffusion」などは、このGenerative AIを活用しているサービスの代表例です。
Generative AIの資金調達状況とトレンド
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現在、世界的にスタートアップの資金調達環境が難しくなっている中で、2021年からGenerative AIを活用する企業への投資は記録的に伸びています。2019年にも総額では突き抜けていますが、これはOpenAIへの$1B($1,000M)の大規模な投資があったためです。
2023年には、ChatGPTという多くの会社や人に大きな衝撃をもたらしたサービスの台頭により、Generative AIへの投資は2022年よりもさらに加速するでしょう。
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2023年1月時点で、Generative AIを活用する企業のうち、評価額が10億ドル($1.0B = 約1,000億円)以上のユニコーン企業は上記の6社です。
(1) OpenAI
(2) Hugging Face
(3) Lightricks
(4) Jasper
(5) Glean
(6) Stability AI
次章からは、このユニコーン企業6社の特徴に簡単に触れるとともに、Generative AIのトレンドを見ていきましょう。
Generative AIのユニコーン企業#1:Open AI
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ChatGPTを運営する「OpenAI」は、2015年に設立された人工知能を研究する営利と非営利のハイブリッド体制の組織で、Tesla CEOのイーロン・マスク氏や、LinkedInの共同経営者のリード・ホフマン氏等が設立に関わっており、Microsoftからは10億ドル(約1,000億円)の出資を受けています。
OpenAIは、Generative AIを始め、自然言語処理や画像認識等の様々な分野でAIの研究開発を行いながら、スタートアップ投資を行うStartup Fundも保有し、これまでに1億ドル(約100億円)以上を投資しています。
投資先のスタートアップに自社サービスを提供することで、シナジー創出を模索しているのが特徴的です。
主なサービスとして、ChatGPTをはじめ、高精度な自動音声認識システムのWhisper、文字情報からリアルな画像やアートを作成するDALL・E2などを運営しています。
Generative AIのユニコーン企業#2:Hugging Face
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Hugging Faceは、2016年に設立された自然言語処理のライブラリの開発や、人工知能コミュニティを運営する企業です。
AI開発者や研究者に対して、自然言語処理の開発や研究をより効率的に行えるよう支援することで、自然言語処理領域の技術革新に寄与しています。
主なサービスとして、何千種類もの学習済みのモデルを提供してくれるライブラリの「transformers」が有名で、多くの企業がこのライブラリを活用することで、自然言語処理を簡単に扱うことができるエコシステムを構築しています。
Generative AIのユニコーン企業#3:Lightricks
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Lightricksは、2013年に設立されたクリエイター向けに動画や画像編集のモバイルアプリを開発するスタートアップです。
Lightricksの製品は、一般的な写真編集ツールに加え、AIを活用した画像処理機能を備えています。これにより、簡単に高品質な写真編集が可能となります。
主なサービスとして、写真加工アプリの「Facetune」が有名です。その他には「Facetune Video」という動画加工アプリや「Videoleap」というビデオ編集アプリがあります。
Generative AIのユニコーン企業#4:Jasper
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Jasperは、2021年に設立されたAIコンテンツプラットフォームを提供するスタートアップで、25の言語に対応したオリジナルコンテンツを作成できるのが特徴です。
このAIコンテンツプラットフォームの対象範囲は、ブログ記事、SNSへの投稿、Webサイトの広告コピー、キャプション、ビデオスクリプトの下書きなど、かなり汎用性が高いです。
Generative AIのユニコーン企業#5:Glean
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Gleanは、2019年に設立された、企業内ドキュメントを分析し、Google検索のように該当箇所や関連ドキュメントを表示するAIサービスを提供するスタートアップです。特に自動化された顧客サポートと自然言語処理に特化しています。
このサービスを通じて、従業員の職種に基づいた検索結果のパーソナライズ化を進めたり、従業員の検索によって注目度が高いデータのみに絞って効率的にデータを活用できるなど、ナレッジマネジメントすることが可能となります。
Generative AIのユニコーン企業#6:Stability AI
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Stability AIは、2019年に設立された世界初のコミュニティ主導のオープンソースAI企業です。
テキストから画像を生成できるAIを開発し、ソースコードから学習済みの機械学習モデルまでを公開している点が特徴的です。
主なサービスとして、オープンソース化された画像生成AIの「Stable Diffusion」が有名で、ライセンスを明記することで営利・非営利問わず使用できるのが特徴です。
ここまで、Generative AIを活用するユニコーン企業6社を見てきました。
Generative AIのユニコーン企業の傾向としては、その会社自体がユーザーにGenerative AIによる価値提供をしているというよりも、第三者の企業が利用することで間接的に価値提供するパターンが多いようです。
次章からは、冒頭取り上げたOpenAIが運営するChatGPTを導入した企業の事例と、企業価値への影響を見ていきます。
Generative AIを導入したことで株価が急騰した事例
(1) 米国BuzzFeedのChatGPT導入による株価高騰
米国のBuzzFeedは、オンラインメディアを運営する企業で、複数のWebサイトやSNSに展開される独自の記事や動画、クイズを発信しています。
そんなBuzzFeedが、ChatGPTによるサイトの特定のコンテンツを生成する計画を発表しました。
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2023年1月26日の発表後、同社の株価は翌日の27日にかけて約4倍超に一時高騰しました。
(2) noteのChatGPT導入による株価高騰
続いて、「決算が読めるようになるノート」でも配信しているnoteについて見てみましょう。
noteも2月8日にユーザーの書きたい記事のテーマに沿った構成案を提案する新サービス「note AIアシスタント(β)」を発表しました。
この新サービスには、ChatGPTと共通の技術である”GPT-3”が利用されています。
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この新サービスの発表を受けて、2月13日時点で同社の株価は約1.6倍に高騰しました。
(3) 弁護士ドットコムのChatGPT導入による株価高騰
オンライン法律相談サービスやクラウドサインを提供する弁護士ドットコムは、2月13日にChatGPTを利用した無料法律相談サービスを今春スタートさせると発表しました。
これは、これまで弁護士ドットコムが貯めていた法律相談のナレッジをChatGPTに学習させることで、独自のサービスを作るという興味深い事例です。
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この発表により、上図の通り同社の株価は約1.1倍の上昇を見せています。
弁護士法などにより、法律相談という領域は、BuzzFeedやnoteの領域と比較してリスクが高い領域のため、今後の弁護士ドットコムがどのようにサービスを確立させていくのか注目です。
まとめ
ここまで、Generative AIの概要や、Generative AIを活用するユニコーン企業、Generative AIの中でも特に有名なChatGPTを活用した企業の株価高騰の事例を見てきました。
この記事で見てきたように、Generative AIによって企業のブランドやナレッジ、データにうまくレバレッジを掛けられる企業は、市場からの期待値が高まり、企業価値が向上しやすいといえるでしょう。
また、現状Generative AIを活用するユニコーン企業は、Generative AIを活用したい事業会社へ導入するBtoBが中心のため、今後はBtoC向けの会社でユニコーン企業が現れるかどうかにも注目です。
この記事のGenerative AIやGenerative AIを活用したスタートアップ企業の説明など、一部のコンテンツは、ChatGPTを活用して制作しています。