JTはなぜ縮小産業で過去最高益を更新できたのか?4つの成長要因を解説

JTは新興国需要と買収効果、価格戦略で縮小産業でも過去最高益を達成し、次世代製品移行を進めている。

決算が読めるようになるノート 決算解説
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JT(日本たばこ産業)は、1985年に日本専売公社から民営化された、日本を代表するたばこメーカーです。国内たばこ事業における独占的地位を背景に成長してきました。Winston、Camel、MEVIUS、LDの4つをグローバル主力ブランドに展開し、世界130以上の国・地域で事業を展開しています。


2025年度 第3四半期 決算は過去最高益

JT Group 2025年度 第3四半期 決算説明会

JTの2025年度第3四半期累計は、売上収益2兆6,340億円(前年同期比+13.2%)、調整後営業利益8,147億円(同+22.1%)、営業利益7,629億円(同+20.8%)、継続事業からの四半期利益5,114億円(同+16.6%)と、全ての指標で二桁成長を達成しました。

為替一定ベースでは、調整後営業利益が8,490億円(+27.2%)と、さらに高成長を示しています。たばこ産業が成熟・縮小産業と見なされる中で、この成長率は驚異的です。

通期見込も大幅に上方修正され、売上収益3兆4,560億円(前回見込比+1,810億円)、調整後営業利益9,030億円(同+890億円)、営業利益8,450億円(同+940億円)となりました。

営業利益の前年度比+168.9%は、2024年度のカナダ訴訟損失引当金3,756億円計上の影響を含みますが、この特殊要因を除いても+22.5%の増益です。

VGR買収が生んだ成長加速

JT Group 2025年度 第3四半期 決算説明会

2024年に完了した米ベクター・グループ(VGR)買収の効果が、想定以上に業績を押し上げています。

調整後営業利益の増減要因分析では、数量効果として2,387億円のポジティブ貢献があり、「VGR買収効果を主因とした東欧・中東・アフリカ地域の貢献」と明記されています。

JT Group 2025年度 第3四半期 決算説明会

東欧・中東・アフリカ地域は、総販売数量+5.0%、売上収益+28.6%、調整後営業利益+52.1%(いずれも為替一定ベース)という突出した成長を遂げました。この+52.1%という利益成長率は、他地域(アジア+5.4%、西欧+10.4%)を大きく引き離しています。

VGRはフロリダ州に本社を置き、米国ディスカウント・シガレット市場で第4位のシェアを持つ企業です。この買収により、JTは米国市場への直接アクセスを獲得しました。「トルコ・米国等で発現したポジティブな数量効果」と「ロシア・トルコ等で発現したプライシング効果」が同地域の成長を牽引しています。

たばこ事業を支える三つの成長要因

新興国が支える紙巻きたばこ

JT Group 2025年度 第3四半期 決算説明会

総販売数量は4,386億本(前年同期比+2.2%)、うち紙巻きたばこは4,285億本(+1.7%)と増加しました。

主要市場における紙巻きたばこ総需要は、主に日本・英国において減少したものの、ロシア・トルコでは堅調に推移しています。

通期の数量前提も、当初の前年度比約-1.0%から約+2.0%へと3ポイント上方修正されました。新興国での需要堅調さを確信した結果です。

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