住まいを支える2大ハウスメーカーの成長事業 「物流の大和ハウス工業」と「ブランド力の積水ハウス」の戦略比較

大和ハウス工業と積水ハウスは、業績や事業戦略に違いがあり、両社の成長が期待されます。大和ハウスは多角化戦略、積水ハウスは品質重視のブランド戦略が強みです。

決算が読めるようになるノート 決算解説
住まいを支える2大ハウスメーカーの成長事業 「物流の大和ハウス工業」と「ブランド力の積水ハウス」の戦略比較
  • 住まいを支える2大ハウスメーカーの成長事業 「物流の大和ハウス工業」と「ブランド力の積水ハウス」の戦略比較
  • 大和ハウス工業より
  • 積水ハウスより
  • 積水ハウス 2024年度第3四半期 決算概要より
  • 大和ハウス工業 2024年度第3四半期 決算概要より
  • 大和ハウス工業 2024年度第3四半期 決算概要より
  • 積水ハウス 2024年度第3四半期 決算概要より
  • 積水ハウス 2024年度第3四半期 決算概要より

住宅業界は、日本の経済と密接に関わる重要な分野です。大和ハウス工業と積水ハウスは、業界を代表する企業として長年にわたり発展を続けてきました。本記事では、両社の最新の決算情報をもとに、業績や戦略の違いを比較し、それぞれの強みや今後の展望について解説します。


決算概要比較

2024年度第3四半期の決算を見ると、両社の戦略の違いが数字に表れています。

大和ハウス工業(以下、大和ハウス)は、売上高3兆9,502億円(前年同期比5.2%増)、営業利益3,572億円(同25.4%増)、四半期純利益2,368億円と、堅調な業績を維持しています。住宅事業に加え、商業施設や物流施設の開発が好調で、特に物流施設を中心とした事業施設ではEC市場の拡大を背景に大規模案件が相次ぎ、収益に大きく貢献しました。事業施設の営業利益は1,389億円と、前年同期比で55.9%増の大きな成長を見せています。

一方、積水ハウスは、売上高2兆8,630億円(前年同期比30.8%増)、営業利益2,326億円(同24.6%増)、四半期純利益1,648億円と、積極的な事業展開が大幅な成長を支えました。特に、米国での事業が好調で、同地域の売上高は8,201億円と急成長を遂げています。これは、MDC社の買収を通じて、米国市場での事業基盤が強化されたことが寄与しています。

事業戦略の違い

大和ハウスの多角化戦略

大和ハウスは、住宅事業にとどまらず、商業施設、物流施設、さらには海外事業まで幅広い分野に事業を展開しています。住宅事業では、都市部の集合住宅から地方の戸建住宅まで、幅広いニーズに対応する商品ラインナップを持ち、国内の安定した住宅需要に対応しています。

物流施設事業では、EC市場の成長に対応し、次々と新規プロジェクトを展開しています。物流センターの規模拡大に加え、テナント企業と長期契約を結ぶことで安定収益を確保しています。物流施設は、大和ハウスの中でも事業の柱として大きな成長を遂げています。また、温度管理が求められる医薬品や食品向けの「コールドチェーン物流施設」にも積極的に取り組み、幅広い需要に対応しています。


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