富士フイルムの決算分析 フィルム企業から総合ヘルスケア企業への進化

富士フイルムは多角化と技術力強化により、ヘルスケアや半導体材料など複数事業で安定成長を実現し、過去最高益を更新しています。

決算が読めるようになるノート 決算解説
富士フイルムの決算分析 フィルム企業から総合ヘルスケア企業への進化
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富士フイルムはカメラ事業中心の企業から脱却し、ヘルスケアや半導体材料など複数の事業で持続的成長を目指しています。

決算ハイライトと収益全体像

富士フイルム ホールディングス株式会社 2026年3月期 第1四半期 決算説明会

2026年3月期第1四半期の連結業績は、売上高7,495億円、営業利益753億円、当社株主帰属純利益538億円となり、売上高と営業利益は第1四半期として過去最高を記録しました。

為替影響を除く前年同期比では売上高+4.5%、営業利益+35.1%、当社株主帰属純利益+10.6%と高い伸びを示しています。

通期見通しは売上高3兆2,800億円、営業利益3,310億円、当社株主帰属純利益2,620億円を据え置き、こちらも過去最高を更新する見通しを示しました。

富士フイルム ホールディングス株式会社 2026年3月期 第1四半期 決算説明会

同社の収益構造は、体験消費を軸とするイメージング、技術資産を活かすエレクトロニクス、企業・行政のDXを支えるビジネスイノベーション、そして医療・ライフサイエンスを担うヘルスケアの四領域から成り、相互補完によって外部ショックへの耐性を高めています。米国の相互関税リスクは通期で営業利益▲60億円の影響を織り込みつつ、供給網再編や価格戦略による吸収を図るとしています。

ヘルスケア 収益拡大を牽引するバイオ事業

富士フイルム ホールディングス株式会社 2026年3月期 第1四半期 決算説明会

ヘルスケアは「予防・診断・治療」を横断するトータル戦略を掲げ、医療機器、医療IT、体外診断、内視鏡、バイオCDMO、再生医療、ライフサイエンス製品を幅広く展開しています。

第1四半期の売上高は2,285億円、営業利益43億円となり、バイオCDMOや培地・試薬の伸長が増益に貢献しましたが、中国向け医療材料の需要減が一部重しとなりました。

バイオCDMOは同社の成長エンジンであり、デンマークの大型設備が稼働開始し、米国の新設備とも連携して受注を拡大しました。さらに2028年度に稼働予定の米国第2次投資分では複数の製薬会社と総額約20億ドルの長期契約に基本合意しており、中長期的な収益拡大が見込まれています。地域分散の面では、中国市場の需要減少を新興国市場の開拓で補完する方針を示し、リスクの低減を図っています。

エレクトロニクス 半導体需要回復と新素材開発

富士フイルム ホールディングス株式会社 2026年3月期 第1四半期 決算説明会

エレクトロニクスは高機能材料と記録メディアを中心に展開し、産業やICT化を支える基盤領域です。

第1四半期の売上高は1,021億円、営業利益225億円となり、生成AIやデータセンター需要を背景に半導体材料の販売が好調で、営業利益率は22%と高水準を維持しました。一方で、データテープは前年の大型案件反動により減収となりました。


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