Q. シェアNo.1「LIQUID eKYC」が、成熟しつつあるeKYC市場で描く成長戦略とは?

ヒント:「LIQUID eKYC」が、成熟しつつあるeKYC市場で描く成長戦略は以下の3つ#1 eKYC(本人確認)から●●へのアップセル#2 ●●事業への横展開#3 ●●におけるシェア拡大

決算が読めるようになるノート 決算解説
Q. シェアNo.1「LIQUID eKYC」が、成熟しつつあるeKYC市場で描く成長戦略とは?
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ヒント:「LIQUID eKYC」が、成熟しつつあるeKYC市場で描く成長戦略は以下の3つ
#1 eKYC(本人確認)から●●へのアップセル
#2 ●●事業への横展開
#3 ●●におけるシェア拡大

今回は、個人認証・個人最適化ソリューションを提供する株式会社ELEMENTS(エレメンツ)を取り上げていきます。

https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS08899/282580cd/702a/4348/9746/023b95323c62/140120230113589426.pdf

ELEMENTSが提供する個人認証・個人最適化ソリューションは、本人確認の自動化、仮想試着、傾向性解析、空間解析などを可能にします。

今回はELEMENTSが提供しているサービスの中でも、eKYC(electronic Know Your Customer=オンライン上の本人確認)市場でトップシェアを誇る「LIQUID eKYC」にフォーカスし、成熟しつつある市場の中でどのような成長戦略を描いているのか、解説していきます。

LIQUID eKYC運営のELEMENTSとは?

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ELEMENTSは、2013年12月に設立された企業で、創業時はAIの生体認証分野への応用に関する研究開発を行っていました。2015年当たりからAI生体認証の商用化に向け実証実験を行い、2017年~2018年当たりにIoP(Internet of Persons=ヒトがネットワークに直接繫がる概念) Cloudの提供を開始しました。

2022年12月27日に上場し、1月16日に初の決算発表も行っています。

有価証券届出書(新規公開時)

2022年11月期 決算説明資料

ELEMENTSという会社名よりも、LIQUIDというグループ会社(主要サービス)名を知っているという方が多いのではないでしょうか。

ELEMENTSの2つの事業

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ELEMENTSは以下の2つの事業を展開しています。

1.個人認証ソリューション

・デジタル本人認証(eKYC)「申込者が実在する本人であるかどうか」を確認するサービス

・デジタル当人認証(Auth)ユーザーが「登録された本人(当人)であるか」を認証するサービス

2.個人最適化ソリューション
・住×個人最適化オフィス・住宅における生活環境の個人最適化

・衣×個人最適化婦人靴(パンプス)、衣服の個人最適化
 ※2023年1月現在は実証実験フェーズ

・食×個人最適化食品小売の個人最適化
 ※2023年1月現在は実証実験フェーズ

また、ELEMENTSのサービスは以下のグループ会社、事業内容に分担して提供されています。

Liquid:生体認証の研究・システム開発
Indoliquid:インドネシア・salim財閥との合弁企業
SYMBOL:体型認識の研究・システム開発
IDEAL:足形認識の研究・システム開発
MYCITY:空間認識の研究・システム開発

ELEMENTSの直近の決算数字を見てみる

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上場後初の2022年11月期の決算では、売上高16.5億円、YoY(前年同期比)+21%、売上総利益は10.9億円、YoY+33%と順調に成長しています。

営業利益は-5.8億円とまだ赤字の状況ですが、前年の-7.1億円からは改善しています。コストの74%の12.1億円が人件費関連であり削ることが難しいため、営業利益の黒字化のためには、売上総利益を現在の約1.5倍の規模にまで膨らませる必要があります。

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売上の73.8%にあたる12.2億円を個人認証ソリューション事業が稼いでおり、全体の売上成長率YoY+21%に対して、個人認証ソリューションはYoY+42%のため、全体売上の中で個人認証ソリューション売上比率がさらに伸びていることがわかります。

LIQUID eKYCのビジネスモデル

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個人認証サービスのLIQUID eKYCの収益源は、初期費用・固定利用料・従量課金の3種類です。

ARPU(1社あたりの月額売上)を計算してみると、

年間売上 = 12.2億円
導入者数:140社以上
1社あたり年間売上 = 870万円
ARPU = 72.5万円

https://liquidinc.asia/liquid-ekyc/

通常プランの月額基本料は3万円なので、初期費用を一旦計算から除くと残りの69.5万円分(比率96%)が従量課金となり、従量課金メインの構成であることが分かります。

1件あたりの費用は料金プランによって幅がありますが、実際どうなのでしょうか?

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2022年11月期の認証回数は1,310万回で2022年3月29日のプレスリリースから、契約者数が100社を超えたことが記されています。

つまり、2022年11月期の間の初期費用発生企業数はおおよそ50件ほどと想定できます。

本人認証サービス「LIQUID eKYC」、累計本人確認件数が1,000万件を突破

ベーシックプラン:カスタムプラン = 9:1、の割合と仮定すると、2022年11月期において、

・初期費用:  45社 × 5万円 + 5社 × 50万円~ = 475万円~
・月額基本料: (126社 × 3万円 + 14社 × 5万円~) × 12 = 5,376万円~

合わせて約6,000万円~で、多く見積もって1億円ほどかと思われます。

個人認証ソリューションの年間売上は12.2億円なので、少なくとも11.2億円ほどは従量課金によるものと推測できます。

1件当たりの利用料金を割り出すと、

11.2億円 ÷ 1,310万件 = 85.5円/件

となり、1件あたりの費用も納得感のある数字が導き出されます。

また、顧客の視点からすると、これまで紙で行っていた本人確認に比べると、郵送費用だけを考えても十分にメリットが出る金額です。更に、実際には人件費も多くかかることを考えると、導入されるのが納得のソリューションになっていることがわかります。

eKYC市場の展望はいかに?

しかし一方で、eKYC市場は今後大きく伸びていく市場かというと、そうではないという予測が、矢野経済研究所より公表されています。

株式会社矢野経済研究所:eKYC市場に関する調査を実施(2021年)

https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2760

2020年度は市場規模が40.8億円、YoYが+2.7倍と飛躍的に成長しており、2021年度も54億円、YoY+32%と順調に成長することが予測されていますが、次第に成長率は逓減しており、2024年度には成長率はYoY+2%を下回る予想となっています。

また、矢野経済研究所の調査には以下のようなレポートがあります。

金融機関においては、引き続き導入・活用が進む見込みである。2021年5月末現在、都市銀行においては全ての銀行で導入済あるいは導入が決定している。地方銀行では62行中17行、第二地方銀行では38行中3行で導入されており、残りの銀行においても、今後導入が進む見通しである。

その背景としてあるのは、銀行を中心に導入は進んでいるものの、大規模な銀行では同レポート発刊の2021年7月には既に導入されており、残りについても2022年度の終わりには概ね導入が完了してしまうと考えられるためです。

このような成熟しつつある市場において、ELEMENTSはどのように成長戦略を描いているのでしょうか?記事の後半で分析していきます。

この記事は、AI事業に携わっている方や興味がある方、成熟市場における成長戦略事例を知りたい方、な方、個人認証、個人最適化ビジネスに関心がある方に最適な内容になっています。


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