なぜヤマダホールディングスは減収でも利益を守れたのか?暮らし全体を支える新戦略とは

ヤマダホールディングスは多角的事業と新戦略で減収ながら利益を拡大し、暮らし総合支援企業へ進化している。

決算が読めるようになるノート 決算解説
なぜヤマダホールディングスは減収でも利益を守れたのか?暮らし全体を支える新戦略とは
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ヤマダホールディングスは、家電販売を中核に、住宅、リフォーム、家具、金融、リユースなど生活全般をカバーする「くらしまるごと」企業へと転換を進めています。従来の家電量販モデルから脱却し、生活そのものを支える総合リビング企業としての基盤を固めつつあります。


減収減益でも実質的には増収基調

株式会社ヤマダホールディングス 2026年3月期 第1四半期 決算説明会資料

2026年3月期第1四半期の連結売上高は3,776億6,300万円で、前年同期比99.6%と微減でした。

営業利益は133億9,200万円で93.3%、経常利益は146億4,400万円で90.9%、純利益は88億5,200万円で92.1%と、減収減益の決算となりました。

一見すると後退に見えますが、要因の多くはポイント施策抑制や収益認識の影響、未納品分の計上タイミングによるものであり、実質的には増収基調です。ヤマダデンキにおけるポイント施策強化及び未納品増加の影響を除いた場合の売上高は、3,873億3,800万円で、前年同期比101.7%の増収とされています。つまり、会計上は減収でも、実際の販売活動は前年を上回っていました。

営業利益率は3.5%と前年同期比で0.1ポイント上昇し、販管費の抑制や在庫効率の改善が寄与しました。ヤマダは短期的な販促を控え、収益性重視へのシフトを明確にしています。

家電の停滞を補ったのはエアコンと携帯電話

株式会社ヤマダホールディングス 2026年3月期 第1四半期 決算説明会資料

品目別の動向を見ると、エアコンと携帯電話が堅調でした。

エアコンは427億6,700万円で前年同期比104.9%、携帯電話は318億5,100万円で119.6%と好調。通信需要の回復や猛暑の影響が販売を押し上げました。

一方、冷蔵庫や洗濯機など大型家電は前年の買い替え特需の反動減で、244億2,900万円(92.1%)、246億8,400万円(93.7%)と軟調。テレビ・オーディオも微減でした。とはいえ、家電以外の生活領域が成長を下支えし、全体の売上構成が安定的になりつつあります。

株式会社ヤマダホールディングス 2026年3月期 第1四半期 決算説明会資料

住建・リフォーム事業は643億9,100万円(104.9%)と伸長し、第1四半期として初の営業黒字を確保しました。ヤマダホームズ、ヒノキヤグループともに受注残が堅調で、分譲・注文住宅双方の販売が拡大。住空間分野の利益貢献が鮮明になっています。

「LIFE SELECT」がもたらす体験型店舗の進化

株式会社ヤマダホールディングス 2026年3月期 第1四半期 決算説明会資料

ヤマダが掲げる「LIFE SELECT」業態は、家電・家具・リフォームを一体で提案する複合店舗です。

2025年6月末時点で全国39店舗に拡大しており、横浜本店など旗艦店を中心に新しい購買体験を提供しています。

従来のように製品を単体で販売するのではなく、空間展示によって「暮らしの完成形」を体験しながら選べる仕組みが特徴です。これにより家電と家具、住宅関連商品のクロスセルが進み、平均客単価が上昇しています。


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