日本の百貨店業界を代表する髙島屋と、大丸・松坂屋・PARCOなどを運営するJ.フロント リテイリング(以下JFR)。百貨店を基幹事業とする両社ですが、最新決算では収益構造と事業戦略に明確な違いが表れました。本稿では、その収益基盤と戦略の差を読み解いていきます。
2027年2月期第1四半期 決算内容の比較

髙島屋の2027年2月期第1四半期における連結業績は、総額営業収益2,614億円(前年比+8.4%)、営業利益160億円(前年比+33億円)、事業利益173億円(前年比+41億円)、純利益111億円(前年比+41億円)と、各段階利益とも大幅増益となりました。

一方、JFRの2026年度第1四半期連結業績は、総額売上高3,175億円(前年比+3.3%)、事業利益141億円(前年比+1.7%)となり、営業利益は前年の固定資産売却益(約18億円)の反動などにより141億円(前年比△11.7%)と減益となりました。
髙島屋は国内顧客・インバウンド売上高の増大に加え、コストコントロールを推進したことにより、営業増益を牽引した一方で、JFRは総額売上高は百貨店・SC事業の売上が好調に推移したものの、営業利益は前年の固定資産売却益の反動で減益となった点が対照的です。
セグメント別に見る収益構造の違い
百貨店事業の比較

髙島屋の国内百貨店業は、総額営業収益2,142億円(前年比+7.5%)、営業利益75億円(前年比+23億円)と大幅増益を実現しました。販管費は売上比例費増加もコスト削減の推進で前年同水準、販管費比率は1.3ポイント改善しています。

JFRの百貨店事業(大丸松坂屋百貨店)は、総額売上高2,001億円(前年比+3.9%)で、梅田店の大型改装に伴う売場閉鎖影響や万博関連売上の反動減を吸収し増収、事業利益82億円で広告宣伝費など販管費増により前年同水準となりました。
ここに両社の収益構造の違いが表れています。髙島屋は販管費を厳格にコントロールしながら営業利益率を改善させているのに対し、JFRは広告宣伝費などの販管費増加により、事業利益の伸びが限定的となっています。
国内顧客とインバウンドの動向
髙島屋の総売上高は前年比+10%で、国内顧客・インバウンドいずれも大きく伸長しました。国内顧客は外商・外商以外とも大きな差はなく前年度からの堅調な推移が継続、インバウンドは前年度1Qの落込み反動もあり前年比+15%となりました。

JFRの店舗計は、国内・免税売上ともに伸長し4.9%増(大丸梅田店を除く8.9%増)となりました。国内売上は外商売上が牽引し3.6%増(梅田店を除く7.0%増)、免税売上は客単価増などにより13.4%増(同20.9%増)となりました。
両社とも国内顧客、インバウンド双方が伸長していますが、髙島屋は全店で均等に伸長しているのに対し、JFRは大丸梅田店の大型改装に伴う売場閉鎖影響を受けている点が異なります。












