円金利上昇はメガバンク業績をどう変えたか?三菱UFJフィナンシャル・グループと三井住友フィナンシャルグループの業績比較

日本のメガバンク、三菱UFJフィナンシャルグループと三井住友フィナンシャルグループは、円金利上昇に伴い業績が好調で、収益の拡大や貸出増加が見られる一方、リスク管理やデジタル化への対応が課題となっています。

決算が読めるようになるノート 決算解説
円金利上昇はメガバンク業績をどう変えたか?三菱UFJフィナンシャル・グループと三井住友フィナンシャルグループの業績比較
  • 円金利上昇はメガバンク業績をどう変えたか?三菱UFJフィナンシャル・グループと三井住友フィナンシャルグループの業績比較
  • 三井住友フィナンシャルグループ2024年度3Q実績資料より
  • 三菱UFJフィナンシャル・グループ
  • 三井住友フィナンシャルグループ
  • 三菱UFJフィナンシャル・グループ2024年度第3四半期決算ハイライト資料より
  • 三菱UFJフィナンシャル・グループ2024年度第3四半期決算ハイライト資料より
  • 三井住友フィナンシャルグループ2024年度3Q実績資料より
  • 三菱UFJフィナンシャル・グループ2024年度第3四半期決算ハイライト資料より

日本の金融市場では、2024年1月に日銀が政策金利の誘導水準を0.5%程度に引き上げました。これにより、国内の銀行は資金調達コストや貸出金利の変動による影響を受けています。本記事ではメガバンク2社の最新の決算比較、円金利上昇が両社に与えた影響について解説します。


三菱UFJフィナンシャル・グループと三井住友フィナンシャルグループの決算比較

2024年度第3四半期の決算が発表され、三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下MUFG)と三井住友フィナンシャルグループ(以下SMFG)の業績が明らかになりました。

MUFGの2024年度第3四半期の業務純益は1兆7,146億円(前年同期比+1,944億円)と堅調に推移し、親会社株主純利益は1兆7,489億円(前年同期比+4,510億円)と過去最高益を更新しました。

ROE(自己資本利益率)は12.3%に向上し、特に法人向け融資や資産運用部門の収益が伸びたことが大きく寄与しています。また、持分法投資損益が4,281億円(前年同期比+662億円)と増加し、海外事業の成長が引き続き収益拡大に貢献しました。一方、SMFGの業務純益は1兆4,598億円(前年同期比+2,577億円)で、親会社株主純利益は1兆1,360億円(前年同期比+3,431億円)となりました。

ROEは東証基準で10.1%と、こちらも前年同期比で2.1ポイント向上しています。特に、国内ホールセールビジネスの手数料収入や資産運用ビジネスの好調が収益増加を後押ししました。

メガバンクの業績好調の背景

2024年3月期のメガバンクの好業績の背景には、いくつかの要因が影響しています。

先ず、日銀によるマイナス金利政策の解除や米国での利上げにより、国内外での金利収益が改善しました。特に国内市場においては、長年続いた超低金利環境が緩和されたことで、銀行の資金利ざやが改善し、収益増加につながりました。

また、設備投資やM&Aの活発化により、大口融資の需要が増加したことも、メガバンクの業績を押し上げました。MUFGの貸出金残高は125.6兆円と増加傾向で、特に法人向け融資の伸びが顕著でした。SMFGも国内外での貸出増加を背景に、貸出金残高は106.7兆円と前年同期比で9.0%増加しました。

さらに、証券、カード、リースなどのグループ会社の業績も堅調に推移しました。MUFGの持分法投資損益は前年同期比で662億円増加し、海外の関連事業が利益に大きく貢献しました。一方、SMFGも政策保有株式の削減による売却益を積極的に計上し、株式等損益は4,312億円(前年同期比+2,866億円)と大幅に増加しました。

円金利上昇の影響

日本銀行が2024年1月に政策金利を0.25%から0.50%へと引き上げたことで、国内金融機関の収益環境は大きく変化しました。

金利上昇は銀行にとって、貸出金利の上昇による収益向上の機会となる一方、預金金利の上昇による調達コスト増加という課題も生じます。


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