【web3】Q. web3版のSpotify、Facebook、Google Chromeとはどんなサービス?

A. web3版のSpotifyは「Audius」、Facebookは「indorse」、Google Chromeは「brave」。いずれのサービスも、ユーザー側に金銭的なインセンティブが付与されていることが特徴。

決算が読めるようになるノート QA
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A. web3版のSpotifyは「Audius」、Facebookは「indorse」、Google Chromeは「brave」。いずれのサービスも、ユーザー側に金銭的なインセンティブが付与されていることが特徴。

音楽配信サービスといえばSpotifyやApple Music、SNSといえばFacebookやTwitter、ブラウザといえばGoogle ChromeやSafariというように、Web2.0では誰もが知るサービスが多く存在しています。

web3の世界でも、新たなサービスが日々生まれています。どうしても暗号資産の乱高下や、NFTの高額売買を取り上げたニュースが多く報道されていますが、堅実に成長しているサービスもあります。

今日はSpotify、Facebook、Google Chromeのweb3版ともいえるサービスを紹介します。


web3は「特別なもの」ではなく日常に近づいてきている

web3サービスをまだ身近に感じられていない人も多いかもしれません。web3サービスの月間利用者数は3,000万人と現時点では限られているものの、一部領域のサービスでは、ユーザーのアクティブ率がWeb2.0とweb3では差がないそうです。
Web3 Users Are Just Like Web2 Users

上図はWeb2.0のアクティブ率の比較です。平均のDAU/MAU比率は9.8~13.0%となっていることがわかります。

対して、上図は金融領域のweb3サービス(NFT、DEX)のアクティブ率です。DAU/MAU比率は11%で、Web2.0の金融領域のDAU/MAU比率10.5%と比較すると、同程度であることがわかります。

その他領域についての比較はありませんが、少なくとも金融領域においてはWeb2.0もweb3も変わりなく、同じ頻度でユーザーが使用しています。

つまり、web3の金融サービスは利用している人にとっては既に日常のものであり、その他領域のサービスも同等である、または今後同じくらい利用される可能性は大きいです。

このあと、具体的に馴染みのあるWeb2.0サービスと比較をして、人気となっているweb3サービスを紹介していきます。


音楽ストリーミングサービス「Audius」とは?

Audiusは、2018年にサンフランシスコで設立され、分散型音楽配信プラットフォームを提供している会社です。Katy PerryやLinkin ParkのMike Shinodaなど、著名アーティストが投資をしていることでも知られています。

Audiusは、アーティスト、開発者、ユーザーが音楽を共有し、協力して音楽を守るために分散型コミュニティを構築しています。

ブロックチェーン技術を活用し、著作権者にコンテンツを紐づけて管理することで、これまで問題解決がしづらかった著作権の侵害を防ぐぐことができるることと、分散管理によって中間マージンを抑えることができ、収益をアーティストに還元することができます。


上図は一般的な音楽配信サービスの収益の分配イメージです。アーティストにはたった6.8%しか還元されていません。

Audiusでは、収益の90%をアーティストに、10%をノードオペレーター(ネットワーク運営を支える人)に分配するとしています。

90%には作曲者や、レーベル所属のアーティストであればレーベルの取り分も含まれる可能性が高く、既存の音楽配信サービスの収益の分配イメージとapple to appleで比べることはできません。

それでも、ノードオペレーターが10%というのはアーティストにとっても、そのファンにとっても画期的です。SpotifyなどのWeb2.0企業では成り立たないビジネスモデルです。

また、Audiusは独自トークン(AUDIO)を発行しています。アーティストは、音楽の再生数や各ヒットチャートに掲載されればAUDIOを受け取ることができます。まだ有名でないアーティストにとっては、中間マージンが少ない上に稼ぎやすいシステムと言われています。

独自トークンAUDIOによって、アーティストは自身のファンに向けてトークンを発行することもでき、それによってファンはAudius運営権を持つこともでき、アーティストとユーザー共にAUDIO保有の恩恵を受けられます。

さらに、AudiusはTikTokと連携しており、TikTokで楽曲が利用される可能性もあり、アーティストやその曲が認知のきっかけとなったり、拡散される可能性もあります。

2021年12月時点でのMAUは657万人を突破しています。冒頭で紹介したアメリカのベンチャーキャピタリストであるTomasz Tungzがブログで記載している試算によると、web3サービス全体でのMAUが3,000万人とすると、web3サービスユーザーのうち20%がAudiusを利用しているということになり、いかに人気となっているかがわかります。

音楽業界にイノベーションを起こすかもしれないと言われているAudiusですが、他の音楽配信サービスと異なるのは、メジャーデビューしていないようなアーティストの曲が多数配信されているという点です。

すでにメジャーデビューしているようなアーティストの楽曲を主に楽しむSpotifyなどのようなサービスとは、利用者層が若干異なっています。

今後、Audiusがサービスを拡大させていく上で、これまでの業界慣習がある音楽業界で、各プレイヤー(アーティスト、レーベルなど)とどのように協調して成長できるかは、課題となるでしょう。


分散型SNSの「indorse」とは?

indorseは、2017年にシンガポールで設立され、プロフェッショナルのための分散型SNSを提供している会社です。つまり、日本でいうとFacebookやLinkedInのようなものです。

FacebookやLinkedInなどのSNSプラットフォーマーは、ユーザーのデータを保有し、それを活かした広告事業でマネタイズすることが主流となっています。

indorseでは、データの所有権をユーザーに還元し、プラットフォーム上でスキルや活動を共有することでユーザーが利益を得られる仕組みとなっています。indorse上にも広告はありますが、固定料金で広告枠が販売されており、広告収益の大部分がユーザーに還元されるようになっています。

これまでSNSは承認欲求を満たすものと言われてきました。それは投稿すること自体に明確なインセンティブが働かなかったことも一因です。

しかし、indorseは投稿することで利益を得ることができるので、そこに集まるコンテンツ自体も変わってくるかもしれません。indorseについて現時点で得られる情報はまだ少なく、どのようなプラットフォームになるのかは今後注視しなくてはなりません。


web3ブラウザ「Brave」とは?

Braveは、2015年にサンフランシスコで設立され、web3ブラウザを無料で提供している会社です。

ブラウザはインターネット上で最も個人のデータを一括所有するものです。それゆえに非中央集権のweb3の思想からすると、ブラウザのweb3化の普及は早いのではないでしょうか。

特徴としては、プライバシー保護に重点を置いている点です。Brave Shieldsと呼ばれる機能で広告表示をブロックしたり、またその広告主のトラッキング防止が徹底されています。

上図は、Braveが公開している各ブラウザの主要セキュリティ項目の比較です。このように広告ブロック以外にも、Cookieブロックやバウンス追跡(URLにパラメーターを追加することで、ユーザーがあるサイトから別のサイトへ移動する際の追跡)に対する保護などが実装されています。

Braveは、独自トークン(BAT)を発行しており、ユーザーはBraveでの広告機能をONにすると、その対価としてBATを獲得することができます。

・Brave Shield
→あらゆる広告やトラッカーをブロックし、プライバシーが保護される

・Brave Reward
→広告機能をONにすることで、定期的にBraveが配信する広告がブラウザ上で表示され、独自トークン(BAT)が受け取れる

「プライバシー保護に重点を置くと言いながら、結局広告を表示するのか」と思われるかもしれません。Braveはウェブサイト上で以下のように主張しています。

ビッグテックの広告とは異なり、Brave広告はあなたのプライバシーを侵害することはありません。お客様のデータはデバイスから離れることなく安全に保護されます。

つまり、Web2.0企業が実装する広告アルゴリズムではユーザーの個人情報を自社サーバーに送るのに対して、Braveはデバイス上の履歴情報のみを参照しているため、ユーザーデータを取られることはないということのようです。


他にもweb2に変わる注目サービスはある

Audius、indorse、Brave以外にも著名なweb2サービスに代わり得るサービスはいくつもあります。例えばYouTubeのようにクリエイター向けプラットフォームとして注目されている「rally」、PayPalのように決済サービスを提供する「Trustwallet」などです。

一方、web3の特徴として、それぞれのサービスを利用するだけでトークンが受け取れる、いわゆる「●● to earn」の是非については議論がなされ、持続的に成長できるサービスのあり方が問われています。今後これらのサービスについて、どのように発展していくか注目です。

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