【web3】Q. web3のシステムはweb2の延長にあるのか、全く別物なのか?

A. web3のシステムは、web2の延長にあると考えるべき。web2のシステムに「トークンを扱う機能」を付け加えたものと捉えるとわかりやすい。

決算が読めるようになるノート QA
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A. web3のシステムは、web2の延長にあると考えるべき。web2のシステムに「トークンを扱う機能」を付け加えたものと捉えるとわかりやすい。

web3が盛り上がる中で、さまざまな記事を読んだり勉強していても、結局今までと何が違うのかがよくわからない人も多いのではないでしょうか。

この要因の1つに、web3の定義が人によって違う上に、どの視点から見るかで変わってくるという点があります。

今日はweb3サービスのインターフェースではなく、システムに注目して、web2とweb3にどのような違いがあるか解説します。


web3の根底にある思想

混乱を招きやすくなっている原因に、web3の目指す世界観がweb2とまったく違うものとして捉えられていることがあります。web3は非中央集権などと表現されるのは聞いたことがある人も多いはずです。

web1: 一方向的でユーザーはコンテンツのReadのみ可能な世界
web2: 双方向的でReadに加えて、ユーザーのWriteを実現した世界
web3: Read、Writeに加えて、Own(管理者を必要としない取引)を実現した世界

上記のような整理は皆さんもよく聞いていると思います。

web2で実現された世界によって、あらゆる情報がGAFAを中心とする巨大プラットフォーマーに独占されたことは事実です。その事実へのアンチテーゼとして、web3は誕生しており、データを独占するGAFAに対しての反プラットフォーマー的な思想が強いです。

その結果、web3はweb2とはまったく異なるように捉えられやすい傾向にあります。


web2サービスにおけるシステム構造

思想としては前述の通り、相反するものと考えられます。しかし、今日のテーマであるシステムに注目するとどうでしょうか?

Tomasz Tunguz - Spot the Difference

この記事に挙げられているスポーツカードを販売するスタートアップの例えがわかりやすいです。

まず、web2においてのシステムアーキテクチャは5つの要素から構成されると考えられます。

1.トランザクション・データベース: ユーザー1がユーザー3にカードABCを売ったという取引を記録するデータベース
2.メタデータ・データベース: ユーザー1の名前はSamuelで、プロフィール画像が登録されているURLなどを記録するデータベース
3.ファイルストレージ: プロフィール画像ファイルの保存先となるストレージ
4.アプリサーバー: アプリケーションを実行するコード
5.IaaS/CDN(Infrastructure as a Service / Content Delivery Network): コードを実行するサーバー

インターネットサービスを構築したことのある人であれば、まったく違和感がないと思います。


web3サービスにおけるシステム構造

では、web3におけるシステム構造はどうでしょうか。考えてみると、web2と同じく5つの要素から構成されるということに気づくと思います。

ただし、web3の思想で記載の通り、Own(管理者を必要としない取引)の実現がこのままではできません。

これを実現するために、変更が必要なのは「1.トランザクション・データベース」と「3.ファイルストレージ」です。

具体的には以下のようになります。

・トランザクション・データベースはEthereumなどのブロックチェーンに置き換わる
・ファイルストレージはAWS等のクラウドサーバーから、P2Pの分散型ストレージ(Filecoinなど)に置き換わる

つまり、web2とweb3とで、システムアーキテクチャには大きな変化はありません。よって、web3はweb2システムの延長にあると考えるのが正しく、web2のシステムにトークンを扱う機能を付け加えたものと捉えるとわかりやすいです。

トランザクションつまりトークン情報の保管場所のようなものがブロックチェーンであり、これが組み込まれているものがweb3サービスということになります。

しかし、実際にweb3システムにおいてブロックチェーンが占める割合はごく僅かです。


おまけ: web3でのユーザー体験

プロトコルやインフラ層での違いは上記の通りですが、ユーザー体験としてはどうでしょうか。web3のユーザー体験はトークンを扱うためのウォレットが必要となるため、web2とは別物といえるでしょう。

なお、ウォレットは独自のものではなく、主要な暗号資産ウォレットであるMetaMaskやTrust WalletなどのAPIを活用して、web3のユーザー体験を実現していることが多いです。

今日はシステム面におけるweb2とweb3の違いをまとめました。

どの視点から見るかでweb3がどのように語られるのかは異なります。システムなのか、思想なのか、ユーザー体験なのか、それぞれ切り分けて考えることで理解しやすくなります。

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