A. アメリカでは、DAOがEntity(事業体)として登記が必要になる、という法案(の原案)が公開されました。今後、DAO関連、web3関連規制が強まっていくかもしれません。
今回の記事では、アメリカがweb3をどのように規制していくのかという方針が少しだけ明らかになってきたので紹介します。
はじめに、ベンチャーキャピタルのa16zが出している「2022 State of Crypto Report」というレポートを見てみましょう。
DAOがなぜもてはやされるのか?
まず、DAOと呼ばれる組織形態が、なぜこれだけもてはやされているのかという話ですが、これまでの中央集権トップダウン型の意思決定だけではなく、「ボトムアップ型の民主的な意思決定」を可能にする組織形態であるという点が挙げられます。

ここで挙げられているように、DAOというボトムアップ型の組織では、非常に多くの意思決定が多くの投票をもって行われているのが特徴的です。意思決定に参加する投票権を持っているユーザーが非常に多いのも特徴です。
DAOが管理する資産額の合計
多くのユーザーが参加し、多くの意思決定が素早く行われているだけではなく、DAOが管理する資産の額もどんどん大きくなってきています。

このグラフにある通り、DAOが管理する資産額の合計は、$10B(約1兆円)を超える規模になってきています。
これだけのお金が動いているということは、今後成長していくことを考えると、社会全体に対して大きな影響力を持ってくる組織形態になる可能性が高いとも言えます。
そうなってくると、国としては当然ある一定のルールを設けざるを得ないという話になります。
現在、アメリカで議論されているDAOの規制案
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— Adam Cochran (adamscochran.eth) (@adamscochran) June 7, 2022
Wow, so first read some good stuff that moves us forward, but a lot of rough stuff.
Overall this gives US crypto clarity but it will have a huge cost and growing pains.
Here's what I noticed in the first read. https://t.co/Cb1TM0DVJs
このツイートは、6月7日に公開されるはずだったUS Crypto Bill (米国暗号資産法案) のリークです。
注意しておきたい点として、ここで出ているのはあくまでも法案の原案であり、この法案が可決された訳では決してありません。
実際には、これから先多くのロビーイングが行われ、この法案の一部の内容は当然変更されていき、議会で議論されていくことになります。
DAOに関する点に注目すると、この法案に書かれているのは、
・DAOは事業体として登記される必要がある
・パススルー課税(事業体への課税はスルーされ、利益を受けた出資者の構成員のみに課税される)が適用できない事業体になる
・DAOを事業体として登記をしないと、個人が課税対象になる
という内容です。
それ以外にも、取引所へのルール強化など複数の提案が盛り込まれています。
文中の「Digital asset」は実質的に暗号資産を指していますが、議決権や配当の受け取りなどができるものはこれに含まれないように変更されるという提案もあります。
つまりは、配当金がある暗号資産・DeFiはアメリカでの活動が著しく制限されることになります。
アメリカ政府のweb3への考え方

これまでかなりフレキシブルに何でも可能であったのですが、アメリカではこれからEntity(事業体)として登記されることが必要になってくる可能性があります。
登記することで税制的なメリットを受けられる一方で、国に管理される組織になるということでもあります。
この法案が可決すれば、今までのような何でもありの状態から、ある一定のルールが設けられることになるのは間違いなさそうです。
Web3以前に存在していた既存の社会の仕組みとの折り合いをつけていく必要があるわけですが、アメリカのような巨大な先進国では既存の仕組みと大きく乖離したものを新しく設立するというのはなかなか難しいと思います。
よってこれからweb3関連の仕組みにも規制が増えていくと考えて間違いなさそうです。
アメリカのweb3に対する根本的な考え方は以前書いた通り、
web3は成長産業、一方でしっかり管理もする
という一言に集約されるのではないかと思います。
これからも成長産業として、国としては大筋では認めつつも、細かいところでしっかり管理をしていくという流れになっていくのではないかと思います。