Q. デジタル広告のマイクロアドが新規上場、今後の2つの伸び代とは?

A.マイクロアドの今後の2つの伸び代は以下の2つ
・データを活用した配信
・デジタルサイネージ広告

決算が読めるようになるノート 新規上場
Q. デジタル広告のマイクロアドが新規上場、今後の2つの伸び代とは?
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A.マイクロアドの今後の2つの伸び代は以下の2つ
・データを活用した配信
・デジタルサイネージ広告

この記事はゆべしさんとの共同制作です。

2022年5月26日に、マイクロアドのグロース市場への上場が承認されました。

マイクロアドは、国内のアドテク企業の中でも有数の実績を誇る広告業界を牽引する総合サービス企業で、急成長中の注目企業です。

本日は、そんなマイクロアドの事業内容や業績を、他のアドテク企業と比較することで、マイクロアドのユニークな点を紹介します。

また、記事の最後には国内の主要なインターネット広告企業との売上や営業利益の比較をしておりますので、ぜひ最後までご覧ください。


マイクロアドの会社概要

事業内容や業績を見ていく前に、マイクロアドの会社概要を整理しましょう。

マイクロアドは、インターネット広告事業やゲーム事業等で有名なサイバーエージェントから始まりました。サイバーエージェント内で広告事業を立ち上げ、2007年に分社化したことでマイクロアドが設立され、現在のマイクロアドの株主には、サイバーエージェントやソフトバンク、SCSK等が名を連ねています。

詳細な事業内容は後述しますが、自社プロダクトとして、広告主向けと媒体社向けの広告プラットフォームと、データを軸とした企業のマーケティングプラットフォーム「UNIVERSE」を中心に事業展開しています。


マイクロアドの事業ポートフォリオ

新規上場申請のための有価証券報告書(1の部) 株式会社マイクロアド

次に、マイクロアドが展開している事業を詳細に見ていきましょう。上図の通り、マイクロアドは以下の3つの事業を展開しています。

(1) データソリューションサービス
(2) 海外コンサルティングサービス
(3) デジタルサイネージサービス

(1) データソリューションサービス

データソリューションサービスには、(1)消費者の多様な購買・消費行動データを分析し、顧客のマーケティングの課題解決を行う「UNIVERSE」と、(2)メディア向けの広告収益最大化の支援や企業の総合的なマーケティング課題解決を行う「国内コンサルティングサービス」の2つが該当します。

特に、UNIVERSEはマイクロアドの主要事業であり、UNIVERSEのうち、「UNIVERSE Ads」は元々「MicroAd BLADE」と言うサービス名で、オンライン広告をリアルタイムに入札できる広告配信サービスとして、インターネット広告配信プロダクトの先駆けの1つです。

(2) 海外コンサルティングサービス

海外コンサルティングサービスは、企業のデジタルマーケティングの総合的な課題解決を行うコンサルティングサービスとして、中国・台湾・ベトナムの海外子会社で、現地の企業や海外進出した日系企業にサービス提供しています。

具体的には、各企業に対する現地プロモーション施策の立案や、広告枠の買付・運用、広告クリエイティブの作成といった広告代理事業を展開しており、特に台湾では、ネイティブ広告プラットフォーム「COMPASS-FIT」を提供しています。

(3) デジタルサイネージサービス

デジタルサイネージサービスは、マイクロアドの子会社であるマイクロアドデジタルサイネージで、デジタルサイネージを設置しているオーナー向けに、コンテンツや広告の放映管理をオンラインで支援する「MONOLITHS」を提供しています。

これは、インターネット広告の仕組みを、デジタルサイネージというリアルの場に応用したサービスと言えるでしょう。

ネット上のメディアと比較して、広告枠を作る時間や費用が多く発生しますが、「MONOLITHS」を通して広告配信できるデジタルサイネージは、主要都市の大型屋外ビジョンやドラッグストア、スーパー、美容サロンなど、2022年3月時点で13万面を超える規模に拡大しています。


マイクロアドの業績

次に、マイクロアドの事業別の売上を見ていきます。

上図は2021年10月~2022年3月までの6ヶ月間の累計売上ですが、デジタルソリューションサービスが37.3億円で全体売上の約6割を占めており、次に海外コンサルティングサービスが19.3億円、デジタルサイネージサービスが4.6億円です。

ここで、もう一度マイクロアドの事業ポートフォリオを見ると、上図右側の「データプロダクト」であるUNIVERSEとデジタルサイネージは、収穫逓増型のビジネスモデルのため、特にデータプロダクトのサービス拡大に注力しています。

ここでの収穫逓増型のビジネスモデルとは、労働集約型と対比の概念です。固定費がある程度一定であり、ユーザー数が増えても人件費を増やさず済むため、一度損益分岐点を超えると、それ以降の売上の多くは利益(収穫)となります。それゆえ、規模拡大が鍵になってきます。

また、コンサルティングの売上総利益率は約20%であるのに対し、データプロダクトの売上総利益率は約40%と、高い水準を維持しています。

ビジネスモデル別の売上を見ると、2021年10月~2022年3月時点では、データプロダクトの売上は全体の52%を占めており、トレンドを見るとその比率は高まっています。


マイクロアドのユニークな点#1:データを活用した配信

マイクロアドの事業領域である「アドテクノロジー領域」は、2010年前半に様々な広告製品がリリースされ、特にGoogleやCriteo等の広告製品のパフォーマンスが高く、多くの企業に差別化が求められていました。

そのような業界の流れの中で、マイクロアドは様々なデータを活用し、業界業種に特化した多様なプロダクト展開を行うことで勝機を見出しました。

上図のように、マイクロアドは外部企業から提供される消費行動のデータを拡大させ、拡大したデータを活用したプロダクトを追加し、業界ごとに取引社数を増やすことでアカウント数を拡大させる戦略を展開しています。


マイクロアドのユニークな点#2:デジタルサイネージ広告

前述の事業展開の紹介の際に触れましたが、マイクロアドはデジタルサイネージ事業を展開しており、もうすぐ10年を迎えます。

デジタルサイネージは、多くの企業が参入しては撤退するなど、立ち上げ難易度が高い印象が強いですが、マイクロアドのデジタルサイネージサービスは、今後どのように成長を遂げていくのでしょうか。

2022年3月時点のデジタルサイネージサービスの売上は全体の約7%ですが、今後の成長余地について引き続き注目していきたいと思います。


インターネット広告主要企業と比較すると?

最後に、シバタが提供しているKPIデータベースを利用して、インターネット広告領域の主要企業とマイクロアドを比較してみます。

KPIデータベース - 上場企業の決算・KPI情報を網羅したデータベース - 「決算が読めるようになるノート」のシバタナオキが監修

▼留意事項
上図は、インターネット広告以外のセグメントの売上が大きいサイバーエージェント、セプテーニ、デジタルホールディングス(旧オプト)は、それぞれ関連するセグメントのみを抜粋して算出しています。

上図を見ると、売上ではサイバーエージェントが圧倒的であることが分かります。ただ、広告代理事業における売上は、顧客からの広告出稿費の総額を売上計上するか否かによって大きく左右されるため、営業利益でも比較してみましょう。

営業利益で見ても、やはりサイバーエージェントは圧倒的であり、次にセプテーニ、アドウェイズ、デジタルホールディングスという順番で、インタースペース以降は横並びという構図が分かります。

今回の上場によって、マイクロアドがどこまで業績を伸ばし、成長していけるのか注目ですね。


まとめ

ここまで、マイクロアドの事業内容や業績、ユニークな点、インターネット広告主要企業との売上・営業利益の比較をしました。

・マイクロアドは、(1)データソリューションサービス、(2)海外コンサルティングサービス、(3)デジタルサイネージサービスの3つの事業を展開しており、データソリューションサービスの売上が中心

・また、収益逓増型のビジネスモデルである「データプロダクト」の売上は全体の52%で拡大傾向

・マイクロアドのユニークな点の1つ目は、「データを活用した配信」であり、外部企業とデータ連携することでプロダクトを追加し、取引企業数を増やす戦略を展開している

・マイクロアドのユニークな点の2つ目は、「デジタルサイネージ広告」に約10年前から注力している点であり、今後の売上拡大に期待

変化の激しいIT業界の中でも、特にその傾向が顕著なアドテクノロジー領域において、マイクロアドの今後の成長がどのように推移するのか、引き続き注目していきたいと思います。

《決算が読めるようになるノート》