【web3マガジン】事例#10: ブロックチェーンを活用したDropbox系ストレージArDrive

web3スタートアップへの投資は、シリコンバレーのVCを中心に毎日のように盛んに行われており、その全てを把握することが難しいほど増えてきています。

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web3スタートアップへの投資は、シリコンバレーのVCを中心に毎日のように盛んに行われており、その全てを把握することが難しいほど増えてきています。

このマガジンでは、$10MM(約10億円)以上の資金調達を発表したweb3スタートアップを中心に、気になる企業を独断と偏見で取り上げます。

最新事例を手っ取り早く皆さんが理解できるように、今回もなるべく分かりやすく簡潔に解説したいと思います。

今回は、ブロックチェーンを活用したDropboxのようなストレージサービスである「ArDrive」を紹介します。

ArDrive

Blockchain-Based Storage App ArDrive Raises $17.2 Million - DecryptThe app gained attention last year when activists in Hong Kondecrypt.co

ArDrive, a blockchain-based permanent storage application, has raised a tidy $17.2 million in a seed round of 13 investors led by Arweave Team, Blockchain Capital, and Sino Global Capital.

ArDriveは、今回$17.2 million(約17億円)をシードラウンドで調達しました。

では、具体的にどんなサービスなのかを詳しく見ていきましょう。

ブロックチェーンを活用したDropbox系ストレージArDriveとは

ArDriveは、一言で表すと、Dropboxのようなサービスです。

大きな特徴は、

・ブロックチェーン上に一生残り続ける形でデータを保存することができる
・サブスクではなく、一度最初に費用を払うとその後ずっと使い続けられる

という点です。

使い方は非常に簡単で、同社のWebからデータをアップロードするだけです。

現時点で、テキストファイル・記事・写真・動画など600万ファイルが保存されています。

Dropbox や Google Drive を利用している人は多いかもしれませんが、最大の懸念はデータが Dropbox や Google が管理するサーバーにあるため、データの漏洩やこれらの企業の規約などによって、急にデータが取り出せなくなってしまうというリスクです。

ArDrivenの場合、データは Arweave blockchain という改ざんの不可能なブロックチェーン上に保存されるため、ユーザーが完全にデータの所有権をコントロールできます。

中国政府の監視をもかいくぐる堅牢性

いくつか活用事例を見てみましょう。

香港にあるアップルデイリーというニュースサイトが、国防上の理由で閉鎖を要請されました。

そこで21歳のハッカーが率いるdAppleDailyという匿名のグループが、アップルデイリーから5,600もの記事をコピーして、ArDrive上に保存しました。

通常、中国にとってあまり好ましくないサイトは、中国政府の強制力によって簡単に閉鎖できるわけですが、ArDriveを使うと中国政府の監視が及ばないところで、このようにデータが保存されることになります。

ロシア・ウクライナ抗争関連のファイルも

今まさに世間を騒がせているロシアとウクライナの抗争に関連するファイルも、ArDrive上に保管され、一般に公開されています。もし興味がある方はこちらのリンクから覗いてみてください。

サブスク不要 = 1度きりの支払いで永続的にストレージが利用可能

もう一つの特徴として、一度きりの支払いで永続的にストレージが利用可能という点もありますが、実際にどのくらいの価格体系になっているのか見てみましょう。

Pricing

10GBのストレージを利用するのに、約$89(約9,000円)の費用がかかります。1TBのストレージを利用するのには約$9,000(約90万円)の費用がかかることになります。

個人的な印象としては、個人の日々の生活のデータをバックアップ用途で利用するには少し値段が高すぎるのかなという気がします。

一方で、社会的に大きな影響をもたらす可能性がある機密情報であったり、個人においても絶対になくなっては困るクリティカルな情報に限って、ブロックチェーンという改ざんが不可能な仕組みを利用するため、通常のストレージサービスよりも余分に費用を払うというのが、主なケースと考えられます。

今回の記事はいかがでしたでしょうか。

他にも、こんなweb3スタートアップを紹介してほしい、などのご要望も、是非Twitterでコメントいただければ嬉しく思います。

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