NTTは光技術やITソリューションで世界展開を進める通信インフラの巨人、KDDIはモバイル事業の構造変革に加え、ローソン連携や金融などの成長領域で高い収益性を追求する総合通信大手です。両社の最新決算から戦略の違いを読み解きます。
2026年度第1四半期 決算内容の比較

NTTの2026年度第1四半期(2026年4~6月期)における連結業績は、営業収益が3兆6,177億円(前年同期比3,557億円増、+10.9%)となり、第1四半期として過去最高を更新しました。また、EBITDAは8,362億円(同348億円増、+4.3%)、営業利益は4,251億円(同200億円増、+4.9%)、当期利益は2,748億円(同151億円増、+5.8%)となり、対前年で増収増益の堅調な決算となりました。
増収を大きく牽引したのは、IT投資需要を取り込んだグローバル・ソリューション事業や総合ICT事業です。通信基盤の安定運用に加え、ソリューション領域やエネルギー・不動産などの周辺事業が着実に拡大しており、巨大な企業体格に相応しい盤石な収益力を示しています。

一方、KDDIの2027年3月期第1四半期(2026年4~6月期)における連結業績は、売上高が1兆4,873億円(前年同期比5.1%増)、調整後営業利益が3,143億円(前年同期比21.1%増)、調整後当期利益が1,934億円(前年同期比21.6%増)となりました。
通期の調整後営業利益予想(1兆2,100億円)に対する進捗率は26.0%に達し、好調な滑り出しを見せています。増益の大きな原動力となったのは、後述するモバイル通信収入の復調(テレコムコア部門の増益+344億円、+19.5%)と、AI・データセンターや金融などのグロース領域における成長です。
両社の業績動向を比較すると、NTTが3.6兆円を超える圧倒的な売上規模と着実な利益成長を見せているのに対し、KDDIはモバイル事業の単価改善とグロース領域の爆発力によって前年同期比20%超という高い営業増益率を叩き出し、非常に力強いロケットスタートを切っている構図が浮かび上がります。
セグメント別に見る収益構造の違い

NTTのセグメント別営業収益・営業利益の状況を見ると、事業の多角化とグローバル展開の進展が確認できます。
ドコモグループを中心とする「総合ICT事業」が営業収益1兆6,170億円・営業利益2,462億円(前年同期比65億円増)と全社利益の半分以上を稼ぎ出す最大の柱です。これに加えて、NTTデータ等を擁する「グローバル・ソリューション事業」が営業収益1兆2,789億円(前年同期比1,746億円増)・営業利益635億円(同57億円増)と大幅な増収を記録しました。さらに、NTT東日本・西日本の「地域通信事業」が営業利益985億円、不動産やエネルギー等の「その他事業」が営業利益234億円(同53億円増)を計上しています。

KDDIのセグメント構造は、基盤となる「テレコムコア」と成長を牽引する「グロース領域」に明確に整理されています。
主力事業である「テレコムコア」の売上高は1兆837億円(前年同期比3.4%増)で、モバイル通信収入の伸び(4,915億円、同4.6%増)が牽引し、セグメント増益(+344億円)の最大の立役者となりました。個人向けの「パーソナルグロース」(金融、エネルギー、ローソン・Pontaパス等)は売上高2,808億円・営業利益555億円(前年同期比9.3%増)、法人向けの「ビジネスグロース」(AIインテグレーション、データセンター、サイバーセキュリティ等)は売上高1,652億円・営業利益185億円(前年同期比21.6%増)と、いずれも順調な拡大を続けています。
両社を比較すると、NTTは国内モバイル・固定通信だけでなく海外ITソリューションや不動産・エネルギーまで包括する「総合インフラ・ソリューション集団」としての収益構造を持っています。一方、KDDIは強固な通信回線基盤(テレコムコア)の上に、金融や店舗(ローソン)、法人AIといった高付加価値領域(グロース)を積み上げる「通信+α」の集中的な多角化モデルを展開しています。












