百貨店大手3社の2025年中間期決算から読み解く、業界の現在と今後の成長戦略

百貨店業界は、収益構造の変化により変革が求められています。本記事では、大手3社の2025年中間期決算内容から売上、インバウンドの影響、セグメント別の収益構造を比較し、今後の成長課題について考えていきます。

決算が読めるようになるノート 決算解説
2025年中間期決算説明資料より
  • 2025年中間期決算説明資料より
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百貨店業界は、収益構造の変化により変革が求められています。本記事では、大手3社の2025年中間期決算内容から売上、インバウンドの影響、セグメント別の収益構造を比較し、今後の成長課題について考えていきます。


業績比較

売上高と利益の成長率

2025年度中間期決算において、各社は売上と利益の増加を発表しました。特にインバウンド需要の急速な回復が業績に寄与しており、国内消費も好調を維持しています。

・三越伊勢丹ホールディングス

売上高は前年同期比10.3%増の6,191億円、経常利益は同69%増の387億円を達成しました。営業利益も72.8%増加し、三越と伊勢丹の統合後最高益を更新しています。訪日外国人観光客(インバウンド)の増加が特に大都市圏の店舗での売上を押し上げ、さらに「百貨店の科学」に基づく経費削減の取り組みが収益改善に貢献しました。

・高島屋

売上高は前年同期比13.2%増の5,067億円、営業利益は前年比81億円増の302億円となり、増益を達成しました。特に国内百貨店事業が堅調で、外商顧客への高額商品の販売が業績を下支えしました。また、円安の影響で海外事業の利益も増加し、総売上に対する寄与が大きくなっています。

・J.フロント リテイリング

売上高は前年同期比13%増の6,104億円、売上収益は同9.3%増の2,093億円、事業利益は同60.8%増の324億円、営業利益も前年比100%増の393億円となり、特にインバウンド需要と富裕層消費が成長要因となっています。渋谷PARCOや心斎橋PARCOなど、訪日外国人観光客の人気が高い店舗が利益をけん引しており、商業施設や不動産事業も堅調に推移しました。

各社の成長率を比較すると、三越伊勢丹の売上増加率は10.3%と堅調であり、高島屋の13.2%増やJ.フロントの9.3%増も健闘していますが、営業利益の増加率では三越伊勢丹の72.8%、J.フロントの100%増が際立っています。これに対して、高島屋は利益率が改善されているものの、営業利益の増加率では他の2社にやや遅れをとっています。

セグメント別業績比較(百貨店業務、クレジット・金融、不動産)

各社の主要セグメント別に業績を比較すると、それぞれ異なる事業の収益構造が業績に反映されていることが分かります。


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